感光
#AFOCアドカレ2025
12月5日を担当します、まだまだ引き続きエマです。後角祭を引きずりすぎていますが、もう少しお付き合い下さい。これで終わらせる。フラグじゃないぞ。
郡山HipShot Japanは他のライブハウスとは少し違う。
そこらじゅう剥き出しの鉄パイプだらけで柵も鉄パイプ(頑丈!)。スピーカーも鉄パイプで覆われ、たぶんそのスピーカーに近づきすぎないように虎ロープで斜めに結界が引いてある(親切!)。ドリンク代500円だけど選べるのはソフトドリンク(ペットボトル)でアルコールは入った先の自販機で買うシステム(斬新!)。フロア右手にはコンクリートブロックを積み上げて天板を置いただけのようなバーカウンター。残念ながら今は殆ど閉じてしまっていて、亮介も「めちゃくちゃイカしたバーカンがあるのに閉じちゃってて残念なんだけど」と以前言っていた。
そしてステージ頭上にひしめく大量の照明。他のライブハウスでちゃんと確認したことないけれど、この規模のライブハウスでこれほどの照明ってあるんだろうか。ただ残念ながら、今現在のフラッドはこの照明も開始の合図となるSEも必要としていない。この日も革ジャン片手に(その場で着始めた )突然ステージ上に現れた亮介の姿からライブは始まった。
先にセットリストをあげておく。
01. KILLER KILLER
02. スカイウォーカー
03. 理由なき反抗 (The Rebel Age)
04. 星屑のレコード
05. 感光
06. Honey Moon Song
07. 虫けらの詩
08. シーガル
09. 夜空に架かる虹
10. 月夜の道を俺が行く
11. 白状
今やバンドだけじゃなく、聴く人それぞれのアンセムとなった気がしている『KILLER KILLER』は亮介の独唱で始まるせいか、それだけで空気を一瞬にして変えてしまうパワーがある。声にも演奏にも。歌詞は最初から最後までパンチラインと化しているほど強い。
余談だけど私は「いないことにされた空気 吸い込んでまでさあ」が実感を持って心に響いている。この曲が2022年から2023年の間に生まれていたら、私はもう少し早く前職を辞める決意が出来ていたかも知れない。(大丈夫、その頃の私にはこの曲の代わりにアルバム『伝説の夜を君と』があった)
続く『スカイウォーカー』は私にとってちょっとした事件だった。
再現ライブとレトロスペクティヴを経てセトリ入りが難しくなくなった皆んな大好きなこの曲。イントロだけで熱が一気に上がったのと同時に人の波が出来た。私は上手、テツくん前辺りの3、4列目にいたので弾き飛ぶほどの激しさは感じなかったのだけど、明らかに人が前に詰めていた。
私(HipShot Japanの…、フラッドのライブで…、モッシュが起きている……?)
薄ら気付いてはいたけど、この日のHipShot Japanは私の夢見ていた「ぎゅうぎゅう」だった。でもそんなの当然で、だってこれはバックホーンの主催ライブだ。しかも初めてのイベントの。だから私は一応悩みつつこの位置にいることを決め、バックホーンの番になったら下がろうとすら考えていた。ファンを共有してる部分もあるフラッドとバックホーンだけど、来場者の大半がバックホーンのファンだと思っていたし、そんな中でフラッドのライブでモッシュなんて起きるはず無いと予想していた。でも、モッシュは起きている。
その瞬間、なんだか分からないけどめちゃくちゃ面白くなってしまった。凄くヘラヘラしていた。『KILLER KILLER』の「君は飛べる」からの『スカイウォーカー』の歌詞も相まって、笑いながら妙に感動していた。そうか、こういう感じだったのか。夢が少し叶った瞬間。
その次はここ1年ですっかり定番曲となった『理由なき反抗 (The Rebel Age)』で亮介のフロアお散歩が開始。中々道が開かれないのは、やっぱりバックホーンのファンが多かった証明。戻る時も中々戻れず「通っていい?笑」とか「誰かのお茶落ちてるよ?」とか声を掛けながらステージに戻ってきた。私はずっと3ピースとなったステージ上のなべちゃんたちを見ていた。フロントマンが不在でも見栄えが良いバンドは最高だと思う。
戻ってきてギターを鳴らし歌い繋いだのはセットリストには入ってない『Moon River』。 弾き語りでは最近のお馴染み曲だけど、フラッドのライブで聴くのは初めてかも知れない。
そんなクラシックな大名曲に続いたのは『星屑のレコード』であまりにも美しすぎる流れ。バックホーンからフラッドへの15周年記念に貰ったプレゼント曲。演るとは思っていたし逆に演らなかったら尖りすぎている。かわいい後輩でいて欲しいので嬉しい。浮かび上がるのは夜の風景と澄んだ冬の空気なのに、眩しいくらいの美しさと煌めきがある。切ないからこそロマンティック。でもその煌めきはほんの少しの間の後に響いた重低音のイントロで一変する。
観客の一部、きっとフラッドファンの皆さんがハッとしたのを感じた。
『感光』は2011年の東日本大震災を経て亮介が作った曲だ。そんな曲に私はこの数年に二度ほど出くわしている。2023年11月23日の喜多方市でのBRAHMANとの対バンが、久しぶりにお目見えした時と記憶している。その時私はまさかの整理番号1番で、柵も無いステージ被りつきの状態だった故に丸見えだったセトリを見て「『感光』って、…『感光』?」とかなんとか、隣にいた見ず知らずのBRAHMANファンのお姉さんに口走った気がする。二度目は今年の仙台タワレコでのインストアライブで。1月17日、阪神淡路大震災があった日だった。因みに私は行っていないけど、今年の野うさぎちゃんツアーで3月11日にあった岐阜でのライブでも披露されたと聞いている。
何れにしろ、意味を持って演奏される機会が多い曲。そんな曲を聴いて、2つ前の記事で書いたような激重感情を抱えてこの場に立っている私が、どういう気持ちになるか想像出来ると思う。ごく自然に涙が溢れた。
喜多方で聴いた時とも仙台で聴いた時とも違う。似ているけど少し違う。この日の演奏は私にとって何よりも特別で、亮介の歌唱もそれまでに聴いた時よりもずっと深いところまで浸透していくような優しさと凄みを感じた。時々タオルで目頭を押さえながら「絶対一生忘れない」と心の中で呟いた。Taylor Swiftの『Long Live』の歌詞みたいなこと書いてるけど、心の底からの言葉。絶対一生忘れない。その感動を引き連れたままの『Honey Moon Song』も良かった。
「皆んな天国に行けると思ってる?でも天国って思ってるより近くにあるよ。須賀川とかね!栄純さんが生まれた場所だもん、天国だよ。栄純さんは天使だし」
きっとこのMCを聴いたバックホーンのファンの皆さんは「それはそう」と思っただろうし、これからその彼を初めて目にする人たちも「本当だ天使だ」ときっと思う。因みに亮介はそれより先のMCで「大切なことはバックホーンから学んだ」と言って彼等の曲『幾千光年の孤独』の歌詞の一節を冗談っぽく取り上げたけれど、ここで記すのは憚られる気がするのでやめておく。気になる方は各自調べて下さい。時に天使が在籍するバンドの曲は「え?」ってなる攻撃力の高いワードが飛んでくる。
「だから、この曲は天使になれなかった人に」
そんなMCで始まった『虫けらの詩』は福島のお山(なべちゃんがずっと「お山」と言っていたので私もしつこくこの呼称でいきます)で生まれた1曲で、そのお山こそ栄純の生まれた須賀川にある。凄い。伏線回収とか「MC上手~」とか言ったら亮介が嫌がりそうだけど、本当に上手だったので嫌がらないで欲しい。上手〜。そしておかえり、野うさぎちゃん曲。
正直ここまでで既に大満足すぎるセトリ。その後も畳み掛けるように一気に最高潮の盛り上がりを見せた『シーガル』から、武道館告知を兼ね備えた最高の新曲『夜空に架かる虹』、毎度本気で「死んでたまるか!」と叫んでしまう『月夜の道を俺が行く』、「本当は死に切れないというなら それじゃまだ生き切っていないのさ」と歌う『白状』が続いて、大切な宝物を得たような気持ちになってフラッドのライブは終わる。
この日のフラッドのライブ。私はついつい亮介のことばかり書き連ねてしまったけど、視界が良好だったので3人のこともしっかり見ていた。
なべちゃんのドラムはいつだってフラッドの音楽の核で、亮介の独唱で始まる曲が多かったこの日のライブをずっと後で支えてくれていた。ヒサヨちゃんは一番遠かったけど相変わらず美しく舞い、エグいほどの重低音を鳴らしていた。久しく下手側に行ってないから次はヒサヨちゃん側に行こうかな。女神の慈愛の眼差しを受けたい。この日のテツくんはどこかリラックスしてて穏やかな雰囲気を漂わせていた。故に思いっきり煽られるとそのギャップで息が止まりそうになった。心臓に悪い。
そして亮介はこの日、とてもご機嫌だった。頼もしいバックホーンのお兄ちゃんたちに見守られながら、最高の歌を聴かせてくれた。あの因縁の『Tour - Here Is My Freedom -』の時でも即興で「俺は知ってる、ここで生きてる人たちが頑張ってること」と歌ってくれていた彼は、「行くぞ郡山!」と煽り、「I know, 福島が美しい場所だってこと知ってるよ」と優しい目でフロアにいる私たちを眺めていた。何も変わっていない。いつだって彼は誠実で、私はそんな彼の作る音楽に救われている。
セトリはいつも違うけど、いつも鳥肌が立つようなエネルギーとパワーがあって、だからこそ私はフラッドのライブ後には「私は!今!無敵!!」となる。スーパーマリオでのスター状態。今すぐ全速力で走りたい!そんな気分。この夜も私は完璧なまでに無敵だった。
また、本当はTHE BACK HORN(恐れ多いので改めて正式名称で打つ)のライブについても色々書きたい。でもそうなるといよいよまとまらなさそうなので、渋々で割愛させてもらう。だけどせめて、彼等から貰った嬉しい言葉たちを共有したい。
松田晋二「後角祭は福島の音楽シーンを盛り上げたい!と思って開催した俺たちの新しい企画です。そしてそれを誰と一緒にやりたいか?となった時に絶対フラッドだ!フラッドしかいないな!と思って彼らにお願いしました。…佐々木くんは「俺たちでいいんですか?」って言ってたけど、今日こうやってライブを観てフラッドで間違いは無かったと確信しました」
山田将司「フラッド、俺はこの前の新宿歌舞伎町のフリーライブも行ったし、浅草の弾き語りも1人で観に行ったし…、普通にファンです笑。だからこれからも良い関係で…、って言うと大人なやらしい感じになるか笑。とにかく、引き続き一緒に面白いものを作っていきたいっすね!」
松田晋二「a flood of circleの新しいアルバムとライブ、新しくもあるけど今までのロックもしっかりある本当にカッコいいものになってます。そしてそんなアルバムと共にフラッドは来年5月に武道館に挑みます。俺たちも福島から行こうぜ、フラッドの武道館!」
ありがとう、お兄ちゃんたち。あなたたちは福島が誇るロックバンドです。そして最後に亮介の言葉をここに残していく。
「HipShot大好き!本当だよ!来年、武道館で待ってるから皆んな来てね」
I Feel The Shine! あなたにもこの光が届きますように。



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